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良書計画
時間があれば読んでおきたいオススメの書籍、投資や経営実務に役立つビジネス書の紹介など。
「藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義」藤巻健史(2004年)光文社新書 
「藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義」
○金融を基礎から学ぶなら、「マスト(must)」にして「ベスト(best)」の一冊。とにかく分かりやすく面白くかつ実践的な講義内容だ。
活字しかも新書サイズという制約にもかかわらず、これだけのクオリティは凄い。「はじめに」に書かれているが、本書をまとめるに当たっては、出版社内の一室で金融オンチの面々を相手に数時間にわたる講義(と極めて初歩的な内容の質疑応答)を行ったという。実際の講義がどれだけ素晴らしさかが窺い知れる。
世に(元)ディーラーの執筆した本は数多くあれど、読み手(ユーザー)の視点にここまで配慮した本は他に見当たらないと言ってよい。もちろん、それなりに精通した人にとっても復習用のテキストとして使える。
最近、個人投資家の間で外貨投資が流行っているが、まず本書で正しい知識を身に付けてからでも遅くはない。
あらためて記すまでもなく、藤巻健史氏は元モルガン銀行東京支店長まで上りつめた伝説の為替ディーラー。他の著書は専らポジショントークに終始している感もあるが、ロジックは確かなので、いずれも一読に値する。
軽い読み物としては、朝日新聞の連載コラムを収録した「藤巻兄弟の大人塾。」もお薦め。

テーマ:為替取引 - ジャンル:株式・投資・マネー

「ウチの社長は外国人」大宮知信(2005年)祥伝社新書
「ウチの社長は外国人」
○日本で起業し、見事成功を収めた外国人経営者へのインタビュー本。ビッグネームはほとんど取り上げていないので、身近で親しみやすい。名の通った経営者はソフトブレーンの宋文洲氏くらいか。
ここで登場する経営者にほぼ共通して言えるのは、「外国人であるがゆえの、環境面でのデメリットを強調していること」、そして「日本社会の独自性・異質性を理解し、それを(ある程度)受け入れる一方、クールな視点で見つめ、分析し、ビジネスチャンスの芽としていること」だ。後者のベースとなっているのは、異邦人としての好奇心だろう。
彼らが起業家として、環境面で日本人より不利にあるのは間違いないところ。にもかかわらず、日本で起業したのは、一部「やむを得ず」といったケースもみられるものの、やはりこうした好奇心に負うところが大きいのではないか。そして、その彼らならではの視点は、日本人が起業する際の大きな参考となり得る。単なる読み物としても十分に面白いが、本書の価値はそこにあると思う。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

「水煮三国志」成君憶 (著), 呉常春 (翻訳), 泉京鹿 (翻訳)(2005年)日本能率協会マネジメントセンター
「水煮三国志」
○中国では100万部を超えるベストセラー。タイトルの「水煮」は流行語にもなったらしい(その由来は本書を読んでいただくとして)。
三国志とあるが、いわゆる「歴史に学ぶ」といった、ありきたりな視点で書かれた本ではない。MBAチックな企業経営理論を読み物風に解説し、そこに三国志の史実や登場人物を当てはめている。こうしたスタイルの斬新さが売れた要因かもしれない(もっとも、主人公はありきたりだが)。若い経営コンサルテントが執筆しているだけに、所々に散りばめられたツボを押さえた笑いのセンスも秀逸。例えば、「赤いBMW」とか、「鬱になった袁○」とか……。テーマは、起業に始まり、経営戦略や組織論などなど幅広くカバーしているので、企業経営理論の基本書として読んでもよいだろう。

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌

「仕事師達の平成裏起業」溝口敦(2004年)小学館
「仕事師達の平成裏起業」
○月刊誌「SAPIO」の人気連載が単行本化。「エロい!」「ヤバい!」「エグい!」の帯コピーどおり、転んでもタダでは起きない面々の手がける怪しげなニュービジネスを多数取り上げ、それぞれ難易度と儲かり具合を解説した「裏」起業家向けのガイドブック。もちろん、奇抜なアイデアの数々は「表」のビジネスにも十分に活用できる。
この手の本は、アングラ臭漂うパソコン通信の全盛期にもよく見かけた。しかし、その後、インターネットの普及やIT技術の進展に伴い、ビジネスチャンスは、(一部の規制強化をものともせず)さらに拡大している。
全編を通じて読み応えのある内容だが、中でも傑出しているのは、序章に登場するその筋の大物投資家が口にする言葉。これだけでも十分に一読の価値がある。起業家ならずとも経営者は必見だ。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

「新訂・孫子」金子治訳(2000年)岩波文庫
「新訂・孫子」
○これは、いわゆる魏武帝(注)孫子、すなわち魏の武帝=曹操が注釈を付け記した孫子の兵法だ。この書が記された時点で、呉の武将であった孫武の時代から既に約800年も経過している。現代において山ほど刊行されている孫子本のほとんどは、この魏武帝注孫子が底本。
全13篇から成るが、非常に薄い本だ。冷徹な合理主義者である書き手の性格を反映してか、無駄な要素は一切なし。要点のみを押さえた簡潔な文章で綴られている。従って、軽い気持ちで手にとる読み物としては、はっきり言って面白くはない。しかし、読み手が能動的に読み解く姿勢で臨めば、その奥深さにのめり込むこと間違いなしだ。それゆえ、中国古典研究家などによる拡大解釈や脚色を施した孫子本の刊行が、後を絶たないのだろう。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

「アシモフの雑学コレクション」アイザック・アシモフ 星新一訳(1986年)新潮文庫
「アシモフの雑学コレクション」
○「ロボット」シリーズなどで知られる大SF作家の小作品。旧ソビエト生まれの彼は、米ニューヨークに渡った後、1939年に「アメージング」誌で作家デビューを果たしたが、その博識ぶりはまさにアメージング。自然科学にとどまらず、社会、歴史、文学などの領域まで広くカバーした本作では、その超絶レベルの博識を、大変分かりやすい、簡潔な文章でまとめている。いわゆる知識披露本にもかかわらず、決して読み手に嫌悪感を抱かせないところは、余裕綽々のユーモアセンスのなせる業か。読み進めるほどに知己好奇心をかきたてられるので、まだまだ頭の柔らかい想像力豊かな子供にぜひお勧めしたい。
なお、翻訳者の星新一についてはあらためて説明不要かと思うが、小さい頃から妙にリアリストだった当方は昔、夢想的なこの人の作品があまり好きではなかった。しかし後日、ある本を通じて、星製薬(星新一の父親が創設)の興亡を知り、彼の作風について納得するとともに複雑な思いを抱いた記憶がある。


テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

「マンガでわかる良い店悪い店の法則」馬渕哲・南条恵(2004年に文庫化)日経ビジネス人文庫
「マンガでわかる良い店悪い店の法則」
○20年以上前、小売業界に衝撃を与えた(らしい)単行本の文庫化。右ページ解説+左ページコマ割り漫画の見開き形式にまとめてあり、非常に読みやすい。売り手側のお客に対するアプローチ方法〜如何にしてお客にプレッシャーを与えず、店内に誘導し、商品選択をさせて購入まで至らせるか、とそのポイントをケース別にまとめ、レクチャーしている。書かれている内容(法則)の多くは、既に量販店などでは一般的になりつつあるが、個人店であれば、まだまだ参考になる箇所が少なくないハズだ。起業家向けとしても○。

テーマ:「本当に役に立つ」ビジネス書 - ジャンル:本・雑誌

「投資をするならこれを読め」太田忠(2001年)日経ビジネス人文庫
「投資をするならこれを読め」
○最強のブックガイドとのコピーに偽りなし。古今東西の投資に関する基本書と有名な投資家をほぼカバーしている。バリュー株投資でおなじみのウォーレン・バフェット、クオンタムファンドで驚異的なパフォーマンスを残した伝説の投資家ジム・ロジャース、マゼランファンドで有名なピーター・リンチ、そしてヘッジファンファンドの雄ジョージ・ソロスなどなどビッグネームが目白押し。要点をきっちり押さえたサマリが秀逸なので、「これを読むだけ」でかなり投資知識を得ることができる。一通り読んだうえで、自分が興味を持った投資家の本を購入するとよいだろう。
個人的には、ソロスの代表作「グローバル資本主義の危機」がお勧め。これは単なる投資本や経済書の域にとどまらない、哲学の領域まで踏み込んだ啓蒙書だ。

テーマ:株や為替などの取引の考え方 - ジャンル:株式・投資・マネー

「ツキの法則〜賭け方と勝敗の科学」谷岡一郎(1997年)PHP新書
「ツキの法則〜賭け方と勝敗の科学」
○「ギャンブル(賭博)でいかに勝つか……というよりは、いかに負けないか」を科学的に確率・統計論の視点から探求した本。取り上げる題材は、カードゲームやコインゲームに始まり、ルーレット、競馬、パチンコ、宝くじに至るまで、あらゆるギャンブル。それぞれ事例を交え、「勝つことの難しさ(というよりは必ず負けるという現実)」を検証するとともに、「負けを最小限に抑える方法」を伝授する。
内容の紹介は一部にとどめるが、「すべてのギャンブルは『大数の法則』に基づき、回数を重ねるほど標準偏差は小さくなり、そのギャンブル固有の(設定通りの)出現確率(投資回収率)に収斂する。だからこそ、この逆手に取った"賭け方"を考えよ」というのが結論。例えば、ギャンブラーにとって最も投資回収率の高いギャンブルはブラックジャック(?うろ覚え)で約97%(すなわち胴元の取り分が3%)、これに次ぐのはパチンコで約95%(同5%)となる。ちなみに競馬は約75%(同25%)で、宝くじは約50%(同)と最低! 要するに、どのギャンブルも回数を重ねるほど、これらの投資回収率に近づき、最終的には必ず負けるわけである。
ただし、「ギャンブラーの期待利益と期待効用は必ずしもイコールではない(ハズ)」というのが著者の主張。これは投資にも全く同じことが言える。

テーマ:競馬予想 - ジャンル:ギャンブル

「大学教授の株ゲーム」斉藤精一郎・今野浩(2000年に文庫化)日経ビジネス人文庫
「大学教授の株ゲーム」
○バブル経済真っ盛りの1989年に発行された単行本の文庫版。当時と現在では株式市場を取り巻く環境に隔世の感があるものの、文庫化に際して加筆修正は全くなし。作り手もなかなか豪気だ(「まえがき」と「あとがき」の追補だけ)。
とはいえ、内容はタイトルの通り、株式投資の初心者である大学教授二人(経済学者と数学者)が、ファンダメンタル分析やテクニカル分析の基礎を学びつつ、株ゲームを興じるというモノ。株式投資の入門(の入門)としては、概ね今日でも通用する。中でも確率・統計論に基づくアプローチなどは、賭博に限らず(必ずしも株式投資=バクチという意味ではない)、人生のいろいろな場面で援用できよう。ウィットに富んだ文章も読んでいて楽しい。

テーマ:株や為替などの取引の考え方 - ジャンル:株式・投資・マネー

「人間三国志〜軍師の采配」林田慎之助(1992年に文庫化)集英社文庫
「人間三国志〜軍師の采配」
○「週刊モーニング」掲載の「蒼天航路」が今週号で最終回を迎えた。11年にもわ たる長期連載だったが、ここ数年の三国志ブームを支えた大作であったことは間 違いない。個人的には2000年頃、「週刊漫画ゴラフ」に連載されていた「爆風三国志!我王の乱」(別名「ヤクザ三国志」)が爆笑モノで大好きだったのだが。
「蒼天航路」に関しては、主役にありがちな劉備ではなく、曹操を据えたことが、作品の深みを増すうえでプラスに働いたと思う。キャラクターの魑魅魍魎さと人間関係の複雑さと言う点では、この時代、早々の右に出るものはいない。
さて、この「人間三国志」は、魏、呉、蜀の名だたる軍師たちにスポットを当てた作品。全4章は諸葛孔明の章、司馬仲達の章、荀或の章、周癒・魯粛・呂蒙・陸遜の章から成る。バランスよく三国の軍師達を取り上げ、脚色なし、かつ贔屓なしで各人の特長と魅力を伝えているのが良い。中でも、京劇などでは、曹操とともに悪役に仕立て上げられる司馬仲達に対し、正当な評価を下しているのは評価できよう。リアリストである仲達の強かな(したたか)生き様は、世知辛い現代においても学ぶべくところが多いのではないか。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

「日本株"超"強気論」今井澂(2003年)毎日新聞社
日本株「超」強気論
○「週刊エコノミスト」の連載でおなじみ?日経平均が大底値をつけた2003年秋の時点で、株価の反転上昇を予測し、見事的中させた数少ないエコノミストの本。「金融機関の不良債権処理が順調に進捗」、「先進技術分野と環境分野における日本企業の競争優位性」、そして「イールドスプレッド(株式の益回りと長期金利の差)から判断して、日経平均は1万7000〜8000円が妥当」というのが主な論拠だった。多少筆の滑った大風呂敷な部分もあるが、それは芸風と言うことでご愛嬌。
著者はバブル経済崩壊時に日経平均の大幅な下落を言い当てて名を売った。ファンドマネジャーとしての長年の経験を基に、大局を見通す力があるのだろう。「コンセンサスに意味はない」は至言だ。
最新刊の「今井澂の複合的投資戦略 3年後に笑う! 」(2005年、ビジネス社)では、株式以外の投資商品についても言及している。


テーマ:株式投資 - ジャンル:株式・投資・マネー

「進化し続ける経営」北尾吉孝(2005年)東洋経済新報社
「進化し続ける経営―SBIグループそのビジョンと戦略」
○自社PRっぽいサブタイトルだが、内容の半分くらいはその通り。SBI(ソフトバンク・インベストメント)グループがいかにSRI(社会的責任投資)に力を入れているかを強くアピールしている。
ただ、あの北尾吉孝氏が、自身の企業価値に対する考え方を改めた経緯とその論拠を語っている点で興味深い本だ。
1990年代末期、ソフトバンクの孫正義氏が株式時価総額経営を喧伝していた当時、孫氏と蜜月関係にあった、かつての北尾氏は、「価値創造の経営」(1997年、東洋経済新報社)の中で、「企業価値=株主資本、すなわち企業価値とはDCF法に基づき、将来キャッシュフローを適正な割引率で割り引いた現在価値に等しく、株価(株主資本)はその価値を反映したもの(であるべき)」と語っていた。
しかし、これまでSBIが400社以上の企業に出資した経験から、こうした投資・ファイナンス面のみに着目した定義を見直さざるを得なかったという。
現在の北尾氏は、「企業価値=CS(顧客満足)+株主資本+人材である」としている。
まあ、実務経験の豊富な経営コンサルでなくとも、「こんなこと当たり前じゃ?」と言いたくもなるが、業界の大物が自己否定を公言するのは注目に値するし、影響力が大きい存在だけに追随する投資家も多ければ、なおさら……。
興味があれば、ほぼ同時期に出た中国古典について語った本「中国古典からもらった不思議な力」(2005年、三笠書房)もあわせて読んでおきたい。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌

経済学の実際知識」高橋亀吉(1993年に文庫化)東洋経済新報社
「経済学の実際知識」
○著者は年配の投資家なら誰もが知っている人気エコノミスト(故人)。フィールドワークに近い視点で実体経済を分析するスタンスが特長。
とにかく生涯通じて刊行した著作物の数が尋常ではない。「週刊東洋経済」の元編集記者〜編集長というキャリアを考慮しても、圧巻の一語。
本著は、丁稚奉公から事業家を経て大学に入り、経済誌の編集長まで務めた著者が、自身の経済学を一から分かりやすく解説した入門書。理論+実践で説得力があり、かつ大変読みやすく面白い。
類書の「私の実践経済学」東洋経済新報社(1976年)もお勧め。こちらは大正から昭和初期、そして戦後に至るまでの日本経済および国際経済の動きを再確認するうえで、ぜひ読んでおきたい一冊だ。世の中の「変わった部分」と「基本的に変わらない部分」がよく分かり、時代を超えて大局的にものを見る目が養われる(と思う)。

テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌